どうでも良い雑感 20
あれ?電車が来ない。
読みかけの文庫本から顔を上げる。いつもの朝のつもりで立ってたホーム。本に没頭してたから周りを気遣ってなかった。明らかに通勤ラッシュの人影はない。
「あぁ、日曜日か・・・」休日出勤なんだと今更思い出すくらいにせわしくない日が続いてる。
休日ダイヤで少なくなった車両が、いつもよりゆっくりめに感じるスピードでホームへするするっと入って来た。ドアが開くのもゆっくりに感じる。これが気の持ちようってやつだな。
滅多に座れないシートは何だか得した気分だが、休日に仕事場へ向かう身分としては、「当然の権利だ」などと思ってしまう。自分でも多少無理がある理屈だと解ってますよ。
向かいに座ってるのは都心へ遊びに行く少女。早朝に田舎の家を出たのだろう、眠たげな目をこすりながらスマホの指だけが高速に動いてる。斜め横はしっかりした身なりの爺さん。背筋がピンと伸びてる分、車両の揺れに併せて振り子のように揺らいでる。すぐさま真っ直ぐに戻ろうとする形状記憶合金の雰囲気からさっしてこの御仁は絶対頑固者だ。ドア近くには口を開けて眠るサラリーマン。汗で少ないその髪の毛が額に貼り付いてる。ベルトの上に乗っかる余分な肉でズボンがめくれてる。まるで私の様ではないか。「お互い頑張ろうぜ」って心の中でエールを送ったが、その人へなのか、自分へなのか、そんな他愛も無い事を考えてるうちに名古屋駅に間もなく到着する。小説の続きは仕事の合間に読もう。決して読書の合間に仕事って事にならないようにしようとちょっとだけ誓いを立てて改札へ向かう。
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